古い治具や金型は作製してから長い時間が経って図面の保管場所が分からなくなったり、後加工により元の図面とは形状が変わってしまったりすることがあるため、現物をベースに新たに3DCAD図面を起こしたいというご要望をよくいただきます。
今回は長い期間放置されて図面が行方不明になってしまった寸法測定用の固定治具を題材に、3DCAD図面化の事例をご紹介します。
使用設備・ソフトウェア
<ハンディ式3Dスキャナ>
■メーカー:ZEISS社
■型式:T-SCAN hawk 2
■仕様
・光源:ブルーレーザー(LED)
・スキャン範囲:600×550mm(連結スキャン可)
・測定精度:0.02+0.015mm/m
・サテライトモード搭載:最大4,000mmまで測定可
■データ処理・解析用ソフトウェア:ZEISS INSPECT Optical 3D Pro
<リバースモデリングソフト>
■メーカー:3D Systems
■型式:Geomagic Design X
■主な機能
:3Dスキャナで得られたポリゴンデータ(点群)から寸法の定義や編集を行い、CADデータ(フィーチャーベースのソリッドモデル)を作製することができる。
■その他の機能:自由曲面の生成、メッシュの編集、点群の最適化
<3DCADソフト>
■メーカー:Dassault Systèmes SOLIDWORKS Corp.
■型式:SOLIDWORKS Professional
■主な機能
:ミドルレンジの3Dソリッドモデラ―で、主に機械設計に使用される。
■その他の機能:レンダリング、データ管理、アニメーション
作業工程
【対象物】
寸法測定用の固定治具(全長:約1,500mm)
【作業工程①】
測定対象物の長さが1,200mmを超えるとデータ合成時の誤差が大きくなるためサテライトモードを使用。
【作業工程②】
ブルークロスレーザーにて治具をスキャン。
【作業工程③】
スキャンデータを合成した生データ(点群データ)。
【作業工程④】
ZEISS INSPECT Optical 3D Proを用いてデータ結合用治具の除去、ノイズの除去、座標軸・原点の設定を行う。
【作業工程⑤】
Geomagic Design XとSOLIDWORKSを用いてスキャンデータから3DCAD図面を作製。
【作業工程⑥】
ZEISS INSPECT Optical 3D Proを用いて現物の3Dスキャンデータと3DCAD図面データの重ね合わせを実施。
まとめ
経年による変形で治具に反りが発生していたため、反りを矯正した状態で3D図面を製作しました。そのため、治具の中央部分で現物の3Dスキャンデータと3D図面データの誤差が大きくなっています。
射出成形やプレス加工等の金型の3D図面化も同じような工程になりますが、形状の再現性を高めるために高精度3Dスキャナや三次元測定機、形状測定機等を使用することもあります。
治具や金型の3DCAD図面化にお困りの際はお気軽にご相談ください。