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X線CT装置によるガラス繊維配向調査

近年、金属の代わりに用いられる材料として、軽量でありながら強度も高い繊維含有樹脂(FRP)の需要が高まっています。樹脂に含有させる繊維の種類はガラス繊維・炭素繊維・セルロースナノファイバー等があり、用途としてはプラスチック容器から自動車やロケットまで幅広く用いられています。

繊維含有樹脂には様々な利点がありますが、射出成形で部品を作製する際に繊維配向を無視した成形を行うと、十分な機械特性を得ることができなかったり、ソリ等の成形不良が発生することもあります。

そこで今回の調査では、X線CT装置によるガラス繊維含有樹脂(GFRP)の繊維配向の観察・解析を行ってみたいと思います。

使用設備・ソフトウェア

■X線CT装置(ニコン製:XT H 225 ST)
■X線CTデータ用解析ソフト(VOLUME GRAPHICS社製:VG STUDIO MAX)

作業手順

作業手順①

GFRP試料のX線CTスキャンを行い、点群データを取得。(撮影条件:管電圧 220kV、ピクセルサイズ 9μm)

作業手順②

VG STUDIO MAX にて画像構築を行い、繊維の抽出と繊維配向テンソルの出力を実施。

繊維配向テンソル」とは…

繊維配向度つまり指定した主方向に繊維が整列する可能性を示す。指定した主方向に繊維が整列する可能性が高いほど結果スケールは「1」に近い値となり、整列する可能性が低いほど「0」に近い値となる。

【スキン層(表面)の繊維配向テンソル】

【コア層(内部)の繊維配向テンソル】

作業手順③

その他の繊維配向解析は以下の通り。

【カラー分布(繊維配向のフィラーの配向角度に応じたカラー表示)】

赤色部分…指定断面に対して垂直方向
青色部分…指定断面に対して平行方向
緑色部分…指定断面に対して45°方向

【ニードル表示(繊維の向きをニードルで表示)】

樹脂流動解析ソフトの活用

以前ご紹介しました射出成形用の樹脂流動解析ソフトウェア「3D TIMON」のソルバーの一種である「3D TIMON-FIBER」を用いて繊維配向の解析を行うことが可能です。その解析結果を金型の修正やゲート位置の調整に反映させることで、成形不良や機械特性の異常の発生原因を分析・対策することができます。


射出成形時の設計・開発段階において3D TIMON を活用することにより、試作の工数及び回数の低減が可能となり、量産までのリードタイムの短縮に繋がります。

まとめ

今回のブログではX線CT装置と解析ソフトを用いた繊維配向の解析をご紹介しましたが、それ以外にもボイド(巣)の欠陥解析や肉厚・寸法の形状解析等の実施も可能です。

グループ会社であるJTL㈱では構造解析も実施しておりますので、当社で取得した成形品の繊維配向データを加味した構造解析のトライも計画しております。

当社では繊維含有樹脂に関するシミュレーション解析・成形・計測・分析・試験を多角的に行っておりますので、お困りの事がございましたらお気軽にお問い合わせください。

こちらの情報は2024年4月3日時点の情報です。

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当社は『3Dスキャナ』『3DCAD化』『リバースエンジニアリング』など
ものづくりに関する様々な専門サービスをご提供しております。
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