3Dスキャナで取得した3Dデータは形状・寸法の評価やリバースエンジニアリングだけでなく、製品設計の分野でも様々な用途で活用されています。
今回のブログでは折り畳み自転車を3Dスキャンして、その3Dデータをベースに自転車用のキャリーケースを設計する工程をご紹介します。
使用設備・ソフトウェア
ハンディータイプ3Dスキャナ
■型式:T-SCAN hawk 2
■仕様
・光源:ブルーレーザー
・スキャン範囲:600×550mm(連結スキャン可)
・測定精度:0.02+0.015mm/m
・サテライトモード搭載:最大4,000mmまで測定可
■解析ソフト:ZEISS INSPECT Optical 3D Pro
リバースエンジニアリングソフト
■型式:Geomagic Design X
■特徴
・サーフェス抽出機能が優れている。
・オートサーフェスデータの作製ができる。
3DCADソフト
■型式:Rhinoceros 7
■特徴
・自由曲面形状の作製が得意。
・サーフェスの統合ができる。
折り畳み自転車用キャリーケースの設計工程
工程①:現物(折りたたみ自転車)を測定
・測定物:折り畳み自転車(折り畳み後)
・サイズ:850x650x380[mm]
・材質:アルミ合金、SUS、ゴム等
工程②:3Dスキャンデータの位置合わせ
3Dスキャンデータを作業原点に移動
工程③:クッションの断面形状の設計
自転車とクッションの間にできるだけ隙間ができないように断面形状を検討
工程④:クッション全体の設計+3Dモデリング
工程⑤:ケースの概形の設計・3Dモデリング
工程⑥:ケースの各パーツの設計・3Dモデリング
フレーム、取っ手、伸縮ハンドル、キャスター、ヒンジ等
工程⑦:ケースの細部の形状の作り込み
工程⑧:3Dモデルの完成
まとめ
3Dスキャンデータを活用することで自転車の形状を三次元的&詳細に把握することができるため、クッションとの隙間をギリギリまで追い込んでガタツキのない理想的なキャリーケースを設計することができました。
今回の作業を3Dスキャンデータ無しで行う場合、スケールやノギス等で測定した寸法を基にクッションの3Dモデルを作製するため隙間を少なくすることができず、ガタツキの多いキャリーケースになってしまうことが予想されます。
弊社ではこのような3Dスキャンデータをベースにした製品・部品の設計・3Dモデリングを行っておりますので、お気軽にご相談ください。