レーザー式&アーム型の3Dスキャナ『Absolute Arm 7-Axis 8525(HEXAGON社)』の導入時のブログでは「光沢物をスプレー無しで3Dスキャンすることが可能」とご紹介しましたが、実際の撮れ高についてはあまりご紹介ができませんでした。
今回のブログではカメラ式の3Dスキャナと比較する形でその実力値を検証してみたいと思います。

検証方法
【検証内容】
光沢のある金属製品について撮影方式の異なる2つの3Dスキャナにてスキャンを行い、撮れ高の比較を行う。
【測定対象物】
- 材質:金属(部分的にメッキ)・プラスチック・ガラス
- サイズ:200×200×150mm程度
【撮影条件】
- 測定光の乱反射防止用のスプレーは不使用。
- データ合成用のシールは不使用。
- データの合成方法はベストフィット。

使用設備
【レーザー式3Dスキャナ】
■メーカー:HEXAGON社
■型式:Absolute Arm 7-Axis 8525
■7軸アームの仕様:
- 型式:8525-7
- 測定精度(接触式プローブ):±31μm
- 最大リーチ:2980mm
- 保護等級:IP54
■3Dスキャナの仕様
- 型式:AS1(ブルーレーザーラインスキャナ)
- 測定精度(スキャナ単体):±16μm
- レーザーライン幅:150mm
- ポイント取得速度:最大120万ポイント/秒
- 最小ポイント間隔(点間ピッチ):27μm
- 解析ソフト:PolyWorks Inspector Premium
【カメラ式3Dスキャナ】
■メーカー:キーエンス
■型式:VL-500
■仕様
- 測定精度:±10μm
- 自動XY連結測定範囲:φ500×H200mm
- ポリゴン解像度:400万点・1600万点
- その他:色情報の取得
スキャンデータの比較
【Absolute Arm 7-Axis 8525(レーザー式3Dスキャナ)】
・全体的にノイズも少なくきれいなデータを取得することができた。
・奥まった箇所や微細な形状についてはデータの欠落が発生した。

【VL-500(カメラ式3Dスキャナ)】
・光沢のある箇所ではデータのノイズ・ざらつき・欠落が多く、角度の付いた箇所ではさらに多くのノイズが発生した。
・奥まった箇所や微細な形状についてはデータの欠落は比較的少なかった。

検証結果
『Absolute Arm 7-Axis 8525』は測定光の乱反射防止用スプレー無しでもノイズの少ないスキャンデータを取得することができました。同じレーザー式3Dスキャナでも他メーカーの機種ですとここまでの撮れ高にはならないため、Absolute Arm 7-Axis 8525のブルーレーザーラインスキャナ(AS1)が良くできているものと思われます。
測定品にはスプレーを塗布したくない、現場ではスプレーが使用できない等の様々な制約があるかと思いますので、そうした場合はAbsolute Arm 7-Axis 8525をご活用ください。
VL-500等のカメラ式3Dスキャナはそもそもスプレーを塗布して3Dスキャンを行うことが前提の装置になりますので、やはり厳しい結果となりました。
しかしながら、カメラ式3Dスキャナは奥まった箇所や微細な形状のスキャンは得意ですので、スプレーの塗布がOKであれば有用な装置かと思います。
まとめ
3Dスキャナは撮影方式や機種によって得意な撮影対象が異なるため万能な装置は存在しません。今回は光沢物が得意な3Dスキャナとして『Absolute Arm 7-Axis 8525』をご紹介しましたが、測定対象物が変わることで3Dスキャナの優劣も当然変わります。
当社では幅広いシチュエーションにご対応できるようタイプの異なる3Dスキャナを複数台保有しており、今後も装置のバリエーションを拡充してまいります。
3Dスキャナのご利用が初めてという方でも装置の選定や撮影方法について詳細な説明をさせていただきますのでお気軽にお問合せください。