今回の樹脂3Dプリンタの材料調査では、ベースの樹脂を更に強化することができる4種類の長繊維を対象としました。長繊維がバインダーの中にどのように入っていて、断面はどのような形状になっているのかについて装置メーカーからの情報がなかったため、自社で独自に調査を行いました。
Mark X7はカーボンファイバー、グラスファイバー、高耐熱グラスファイバー、ケブラーを長繊維のまま積層することが可能です。造形前の状態としましては、ナイロン系の樹脂をバインダーとして多数の長繊維がワイヤー形状(φ300μm程度)に束ねられており、造形の際は樹脂を溶かしながら長繊維と一緒に押し付けるようにして積層していきます。
分析方法
①材料を切断して樹脂包埋を実施。
②研磨機による鏡面研磨を実施。
③マイクロスコープ(キーエンス製:VHX-6000)による拡大撮影・寸法測定を実施。
分析結果
長繊維の断面の拡大撮影・寸法測定の画像
長繊維の拡大撮影・寸法測定の結果
【長繊維の状態】
カーボンファイバー・グラスファイバー・高耐熱グラスファイバーは折り畳まれるような状態でバインダーの中に入っているのに対して、ケブラーは非常に密な状態で入っていました。
【長繊維の直径】
□カーボンファイバー …φ7~8μm程度
□グラスファイバー …φ10~12μm程度
□高耐熱グラスファイバー …φ10~12μm程度
□ケブラー …φ17~19μm程度
総括
今回の結果は3D造形時に直接何かに役立つ情報という訳ではありませんが、材料の詳細が分からず使用することに不安を感じましたので調査を実施しました。
従来の製造方法でカーボンファイバー等の長繊維を入れて何かを作ろうと思いますと非常に時間とお金がかかってしまいますが、Mark X7を使用することで高強度&軽量な試作品・部品・治具を気軽に作ることが可能になりました。
造形物についてどれぐらい軽量化ができるのか、どれぐらいの強度のものができあがるのか、内部の構造はどうなっているのかについての調査も弊社で実施しておりますので、繊維強化プラスチックによる3D造形についてご興味がある方はまずはお問合せください。
この記事の続きを読むには
会員登録(完全無料)が必要です。
会員になると、記事閲覧が無制限になるだけでなく、
ブログで紹介しきれない最新の3Dものづくり業界のニュースも
メールマガジンで直接お届けします。