当社ではレーザー光タイプのアーム型3Dスキャナ(Nikon製)を所有しておりますが、この度、パターン光タイプの据置型3Dスキャナ(キーエンス製)を新規で導入しましたのでご紹介します。
装置の仕様
■装置名:3Dスキャナ型三次元測定機
■メーカー:㈱キーエンス
■型式: VL-500
■本体の仕様
・測定光:パターン光
・測定精度:±10 μm
・繰り返し精度:2 μm
・自動XY連結測定範囲:φ500×H200mm
・解像度:400万点・1600万点
・その他:色情報の取得
レーザー光とパターン光の違い
今回、導入しました装置の測定光はパターン光になりますが、3Dデジタイザの測定光は『レーザー光』と『パターン光』の大きく2つに分類されます。測定原理は以下の通りです。
『レーザー光』
レーザー光タイプの3Dデジタイザは、測定対象物にレーザー光を当てて反射してきた光をセンサーで受光して、三角法により対象物までの距離を計測します。
『パターン光』
パターン光タイプの3Dデジタイザは、測定対象物にパターン光を当ててできた縞模様のパターンラインから対象物までの距離を算出します。
それぞれの特徴は以下の通りです。
3Dスキャンとデータ合成の手順
【手順①】パターン光の反射・吸収を抑えるための前処理
一般的には酸化チタンやシリカ等の白い粉をスプレーしますが、測定後に完全に拭き取るのは物理的に不可能です。そのため、当社では白い粉が数十分後には昇華して無くなるスプレーを使用することで、サンプルの汚染を防いでおります。
【手順②】スキャンの実行
表面と裏面をスキャンすることでおおよその形状データを取得することが可能ですが、奥まった形状や深い穴がある場合はさらにセット方向を変えてスキャンを行います。
【手順③】スキャンデータの合成
付属するソフトウェアでスキャンした表面と裏面のデータを合成して1つのデータにします。必要であれば座標系の情報を加えます。
完成した合成データは以下の通りです。
3Dスキャントライ by MTI.Network on Sketchfab
本装置の活用先
【活用先①】精度保証された三次元測定機としての活用
通常の 3Dデジタイザでは寸法測定についての精度保証はされておりませんが、VL-500 は国家基準のトレーサビリティに対応した精度保証を行っております。(当社ではキャリブレーションボードによる校正やボールゲージによる精度確認を定期的に実施しております。)
そのため、3Dスキャナとして点群データを取得するだけでなく、三次元測定機として寸法測定や厚み測定、幾何公差の判定を行うことも可能です。
【活用先②】3Dカラースキャナとしての活用
VL-500は高精度3Dデジタイザとしては珍しい大型高精細 CMOS カメラを搭載しており、形状の情報だけでなく色の情報も同時に取得することができます。
リアリティのあるカラーの3Dデータを用いた詳細な解析・検討や、データをそのまま 3DCG・AR・MR 等にご活用いただくことも可能です。
【活用先③】リバースエンジニアリングや3Dプリントのデータとしての活用
スキャンデータから3DCAD図面を起こすリバースエンジニアリングを行ったり、スキャンデータから直接3Dプリントする短納期試作を行うことも可能です。
まとめ
【スキャンとデータ合成の手順】でご紹介しました部品について、レーザー光タイプの3Dデジタイザで同じようにスキャン⇒データ合成を行ったところ、約5倍もの時間がかかりました。
3Dデジタイザにも得手不得手がありますので「測定の速さ」が全てではありませんが、VL-500は「ノイズの少なさ」「半自動スキャン」「精度保証」「色情報の取得」という強みも持っており、様々な場面でご活用いただけるかと思います。
どのようなデータをアウトプットすることができるのかトライのスキャン・測定も行っておりますので、お気軽にお問合せください。
カテゴリー: 3Dスキャナ
タグ: カラースキャン, トレーサビリティ, 非接触測定, 三次元測定, リバースエンジニアリング, 精度保証, 3DCAD, 3Dデジタイザ, 3Dスキャナ, 3Dスキャン, STLデータ, VL-500, VL-570