粘土細工やクレイモデル、木彫りのレリーフのような人の手で加工を行った『原型』をベースにして、3Dプリンタにて造形を行いたいというご要望をよくいただきます。
こうしたご要望に対して「原型を3Dスキャンして形状データを取得」⇒「データを修正・加工」⇒「3Dプリンタでの造形」という工程にてご対応しておりまして、このブログではその事例をご紹介します。
原型から複製品を多数個製作したり、3Dスキャンデータを編集して形状や大きさを変えて出力する等の様々なご対応が可能ですので、参考にしていただければと思います。
使用装置
3Dスキャナ型三次元測定機
■型式: VL-500
■本体の仕様
・測定光:パターン光
・測定精度:±10 μm
・繰り返し精度:2 μm(トレーサビリティ対応)
・自動XY連結測定範囲:φ500×H200mm
・解像度:400万点・1600万点
・その他:色情報の取得
3Dプリンタ(樹脂)
■型式:Form3
■本体の仕様
・造形方式:LFS方式(※光造形の一種)
・造形サイズ:W145×D145×H185mm
・積層ピッチ:25、50、100、300μm
(※使用材料により異なる)
・レーザ焦点サイズ:85μm
・XY解像度:25μm
■使用可能な材料
・材料:ABSライク、PEライク、PPライク、シリコンライク、ゴムライク、高耐熱、ガラス成分入り、キャスタブルワックス(※いずれもアクリル系の紫外線硬化樹脂)
・色:クリア、グレー、白、黒、青、ベージュ
作業工程
工程①:原型の作製
工程②:3Dスキャナによる3D形状データ取得
工程③:データ編集
工程④:3Dプリンタによる造形
工程①:原型の作製
油粘土を使用して原型を作製します。岐阜県らしいモチーフをテーマにし、雷鳥と鮎をイメージしたデザインで作製に挑戦してみます。
粘土を積み重ねて造形し、片面のみの立体的な原型を作製しました。
工程②:3Dスキャナによる3D形状データ取得
作製した原型を3Dスキャナで3Dスキャンしていきます。
粘土の表面に手でつけた皺や模様の表現もスキャンでき、3Dデータに反映することができました。
工程③:データ編集
スキャンしたモデルに表面処理を行ったり、細かい造形の変更を行っていきます。
原型は片側半分にしか形状がありませんでしたが、反転コピーにより両面が立体的なデータになるよう修正しました。雷鳥のモデルは羽毛の表現を変更するため、メッシュ編集ソフトにて凹凸を加えました。
工程④:3Dプリンタによる造形
原型より小さい造形物を作るため、3Dプリンタの造形用ソフトにてスケールダウンを行い、積層ピッチは0.05mmにて造形を行いました。
まとめ
以上のように、原型を3Dスキャンしてメッシュデータにすることで拡大縮小・パーツの追加・形状の変更等の編集を行うことができ、一つの原型からご希望の形・大きさ・数量で出力することが可能となります。
出力方法のバリエーションとしましては、各種の3Dプリンタの他に3Dプリント品をベースに製作した注型での出力にもご対応可能です。
人の手で製作した世界に一つしかない原型を3Dデータ化して残したい、3Dプリンタでたくさん作りたいとお考えの方はお気軽にご相談ください。