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3Dスキャナの形状の表現力の比較

3Dスキャナで取得したスキャンデータの品質(撮れ高)は、測定機のタイプやスペックによって大きく異なります。そのため、測定対象物のサイズや形状、要求される解像度や精度等によって適切な3Dスキャナを選択する必要があります。

一般的にカメラ式の3Dスキャナは小~中サイズのワークを測定対象として細かい形状の表現を得意とし、レーザー式の3Dスキャナは中~大サイズのワークを測定対象として広い範囲の短時間測定を得意としていると言われますが、実際の実力としてはどうなのでしょうか?

カメラ式×3種類とレーザー式×1種類の3Dスキャナについて表現力の違いを調査してみました。

使用設備・ソフトウェア

カメラ式3Dスキャナ

■メーカー:ZEISS社

■型式:ATOS Q 12M

■スペック:

  • 測定精度:±3~±26μm
  • スキャン範囲:50×35mm~500×370mm/スキャン
  • ポリゴン解像度:1200万画素
  • 点間ピッチ:12~124μm
  • 測定レンズ:MV50、MV100、MV170、MV270、MV500
  • 解析ソフト:ZEISS INSPECT Optical 3D Pro
ATOS Q 12M

カメラ式3Dスキャナ

■メーカー:ZEISS社

■型式:GOM Scan 1

■スペック:

  • 測定精度:±10~±25μm
  • スキャン範囲:100×65mm~400×250mm/スキャン
  • ポリゴン解像度:600万画素
  • 点間ピッチ:37~129μm
  • 測定レンズ:MV100、MV200、MV400
  • 解析ソフト:ZEISS INSPECT Optical 3D Pro
ZEISS社

カメラ式3Dスキャナ

■メーカー:㈱キーエンス

■型式:VL-500

■スペック:

  • 測定精度:±10μm
  • 自動XY連結測定範囲:φ500×H200mm
  • ポリゴン解像度:400万点・1600万点
  • その他:色情報の取得
VL-500

レーザー式3Dスキャナ

■メーカー:ZEISS社

■型式:T-SCAN hawk 2

■スペック:

  • 測定精度:20μm+15μm/m
  • スキャン範囲:600×550mm/スキャン
  • 測定可能サイズ:最大4,000mmまで測定・連結が可能
  • スキャンモード:ブルークロスレーザー(高速測定)、ブルーラインレーザー(深穴測定)、詳細スキャンモード(高精細測定)、サテライトモード(大型ワーク測定)
  • 解析ソフト:ZEISS INSPECT Optical 3D Pro
T-SCAN hawk 2

測定対象物

  • 測定対象物:犬の置物
  • 材質:樹脂
  • サイズ:W110×D130×H159mm
  • その他:体毛を表現するため表面に細かな凹凸有り。

犬の置物

3Dスキャナ毎の表現力の比較

ATOS Q 12M(MV170)

  • スキャン方式:カメラ式(据置き型)
  • 測定範囲:170×130×130mm
  • 測定精度:0.009mm
  • 点間ピッチ:0.044mm
  • 測定結果:表面の凹凸がしっかり表現されている。

GOM Scan 1(MV200)

  • スキャン方式:カメラ式(据置き型)
  • 測定範囲:200×125×125mm
  • 測定精度:0.014mm
  • 点間ピッチ:0.06mm
  • 測定結果:表面の凹凸はほぼ表現されている。

VL-500

  • スキャン方式:カメラ式(据置き型)
  • 測定範囲:580×300×200mm
  • 測定精度:0.01mm
  • 点間ピッチ:不明
  • 測定結果:表面の凹凸はあまり表現できていない。

T-SCAN hawk 2

  • スキャン方式:レーザー式(ハンディ型)
  • 測定範囲:600×550mm
  • 測定精度:0.02mm
  • 点間ピッチ:0.2mm
  • 測定結果:点間ピッチが長いため、表面の凹凸がかなり簡略化されてしまっている。

3Dスキャナの解像度(表現力)を決定づける要素

3Dスキャナの測定範囲と点間ピッチとの関係性

■測定範囲を大きくして3Dスキャンを行った場合

⇒「点間ピッチが長くなる」=「解像度が低くなる」

■測定範囲を小さくして3Dスキャンを行った場合

⇒「点間ピッチが短くなる」=「解像度が高くなる」

3Dスキャンの形状の表現力と精度との関係性

■測定対象物のオリジナルの形状

■3Dスキャンデータ(点間ピッチ:小)

同サイズで点間ピッチが短いと表現力の高い形状データとなり、オリジナル形状との誤差は小さくなる。

■3Dスキャンデータ(点間ピッチ:大)

同サイズで点間ピッチが長いと表現力の低い形状データとなり、オリジナル形状との誤差は大きくなる。

まとめ

以上のようにカタログスペック(スキャン精度やスキャン点数等)が良くても、スキャンの原理やレンズの仕様等によって測定対象物の形状の再現度が低く(=表現力が低く)なってしまうことがあります。

そうした再現度の低い3D形状データをベースにしてしまいますと形状・寸法の評価や3DCADデータ化が正確にできませんので、装置の特性をよく理解した上で3Dスキャンを行う必要があります。

弊社では様々なタイプの3Dスキャナ(スキャン方式:カメラ式 or レーザー式orプローブ式、測定機の形状:据置き型 or ハンディ型orアーム型)を所有しており、測定対象物・要求精度・データの用途・測定環境に適した3Dスキャナをご提案することが可能ですので、お困りの際はお気軽にご相談ください。

こちらの情報は2025年1月22日時点の情報です。

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