レーザを使用しない新しい造形方法である「ADAM方式」を用いた金属3Dプリンタ『Metal X』を導入しましたので、その造形方法や装置の仕様についてご紹介します。
造形方法
従来、金属材料を用いた3D造形は金属粉をレーザで焼結する方法のみでしたが、Markforged社が世界で初となる「ADAM方式」(=Atomic Diffusion Additive Manufacturing)を金属3Dプリンタに採用しました。この「ADAM方式」は下記のような工程となります。
金属粉+バインダーの材料を3D造形し、洗浄(脱脂)と焼結(シンタリング)の工程を経て最終パーツができあがります。焼結はMIM(Metal Injection Molding)技術と同様のプロセスになります。
装置の仕様
■メーカー:Markforged社
■型式:Metal X
■造形材料(※2020/5/14現在)
・17-4ステンレス鋼(SUS630相当)
・H13工具鋼(SKD61相当)
・A2工具鋼(SKD11相当)
・インコネル625
・銅合金
■造形材料(※今後使用可能予定)
・316ステンレス鋼
・チタン合金(Ti6Al4V)
・アルミニウム合金(6061、7075)
■最大造形サイズ:W300×D220×H180mm
■最大焼結サイズ:W80×D250×H80mm
■積層ピッチ:φ50μm&φ125μm
装置の特徴と用途
装置の特徴
▶レーザを使用しないため、残留応力が少ない造形物を作製することができ、さらに高反射材である銅やアルミニウム等の材料を使用することが可能です。
▶内部をラティス構造にして造形できるため、造形物の軽量化と材料の節約が可能です。
▶造形後のグリーンパーツの状態でブラストや磨きをかけることで、焼結後の表面がより平滑になります。
▶装置と材料の価格が従来よりも安価であるため、造形コストを抑えることが可能です。
装置の用途
●試作部品
●最終部品
●治工具
まとめ
今回、ご紹介しましたMetal Xは新しい造形方法を採用することで造形コストの低減に成功した優れた装置と言えますが、造形品の品質については未知な部分がいくつかありますので、評価装置を用いた客観的な調査結果を随時公開していく予定です。
当社では3Dプリンティング全般に関わる技術サービスをご提供しておりますが、造形サービスのみや評価サービスのみのご依頼も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。