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文化財の3Dデータを使ったレプリカの製作

ものづくりの世界ではデジタル技術はすでに無くてはならないものとなっていますが、考古学や文化財の世界においてもデジタル技術の活用が進んでいます。特に近年では3Dデジタイザや3Dプリンタ、ドローン、VR、AR等のデジタル技術の発展もあり、考古学研究における新たな発見が相次いだり、文化財の新たな活用方法が見い出されたりもしています。

当社は自動車等の製造業関連のご依頼が多いため、高精度な測定機やソフトウェアを多数所有しております。そうした測定機やソフトウェアは考古学や文化財の世界でも有効に活用できるのではないかと考え、「触ることのできる文化財」ということで土器と土偶のレプリカを3Dプリンタで作ってみました。

使用した3Dデータ

使用したデータは、「縄文文化発信サポーターズ」(※全国75市町村と16名の文化人のサポーターによって運営されている縄文文化発信団体)が進める『縄文オープンソースプロジェクト』において、パブリックドメイン化された火焔土器と馬高土偶のデータになります。

使用装置

■メーカー・型式:Formlabs社 Form3
■本体の仕様
・造形方式:LFS方式(※光造形の一種)
・造形サイズ:W145×D145×H185mm
・積層ピッチ:25、50、100、300μm(※使用材料により異なる)
・レーザ焦点サイズ:85μm
・XY解像度:25μm
■使用可能な材料
・材料:ABSライク、PEライク、PPライク、シリコンライク、ゴムライク、高耐熱、ガラス成分入り、キャスタブルワックス(※いずれもアクリル系の紫外線硬化樹脂)
・色:クリア、グレー、白、黒、青、ベージュ

造形手順

造形手順①

材料は火焔土器はスタンダードのクリア材、馬高土偶はモデル材を使用。
ダウンロードしたSTLデータを付属ソフトウェアのPreFormに入れて、サポートの生成やプリント条件の設定を実施。(※火焔土器はφ300×H290mm程度の大きさがあったため2分の1のサイズに縮小。)

造形手順②

作成した造形データを3Dプリンタ本体に転送して、造形・洗浄・二次硬化を実施。

造形手順③

サポート材を除去して、火焔土器にはクリア塗装を行い、完成。

火焔土器

馬高土偶

まとめ

火焔土器はサイズが2分の1になってしまいましたが、鶏冠状把手等の立体的で難しい作りにはとても感心しました。馬高土偶は実物のサイズで造形できたため、本物の土偶を触っているかのような錯覚を覚えました。

通常、貴重な文化財は写真で見たりガラスケース越しに見ることしかできませんが、3Dデータ化することで様々な用途に利用することができたり、3Dプリントすることで手に取って触ることができるというメリットがあります。こうした流れが今後進むことで、研究・教育・観光における文化財や考古学的遺物の活用方法が大きく変わっていくものと予想されます。

今回は既存の3Dデータを使って3Dプリントのみを行いましたが、当社では3DデジタイザやX線CT装置を所有しておりますので、3Dスキャン・3Dデータ作製から実施することも可能です。また、工業製品だけでなく今回の文化財のような分野へのご対応も可能ですので、レプリカ・複製品・カットモデル等の作製でお困りの際はご相談ください。

こちらの情報は2024年4月3日時点の情報です。

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